人生は、楽しいストーリーにしたもの勝ちだ

レベル1から始める人生劇場、行きまーす!

ファミレス合コン(同性限定)の怪

時刻は午前11時3分ごろ。

私は思わず振り返り、見知らぬ女性たちをまじまじと見つめてしまった。

 

そりゃそうだ。

 

「わー、合コンみたい!」

 

真昼間のオフィス街の人気もまばらなファミレスだ。

私のようにパソコンカタカタ叩いてるか、資料広げてるか、営業につなげるべく軽いジャブを打ってる人しかいない空間だ。
そんなところに場違いな甲高い歓声が響いたら振り返るしかないだろう。

 

そして

振り返って「へ?」「あれ、なんで?」と思うのも自然だと思う。

 

その歓声が聞こえたテーブルは、私の席の斜め後ろ。

座っているのは『女性だけ』6人。

 

「えー、何言ってんの」

「でもこんな感じでしょ?」

 

一瞬見る方向を間違えたかと思ったが、彼女たち以外に候補はいない。件の声の主もいる。

 

どうやら彼女は

 

『ちょっと長めのテーブルに、向かい合わせで座っている』というシチュエーションを『合コン』と例えたらしい。

『6人』という人数が一つのテーブル(実際には小さなテーブルをくっつけてるだけだが)に居合わせる――それだけで『合コン』というイメージにつながるのだ。

 

確かにこのファミレス、ちょっとオシャレな新しい2階建て、2面が全面窓で光が降り注ぎ、柱にはレンガを模した飾りがついていたり、観葉植物があちこちに置いてあったりと、幹線道路沿いの平屋建てファミレスに比べたら格段にオシャレ感はある。それでも椅子やテーブルはファミレス然としている。私にはひっくり返ってもここが合コンン会場とは思えないし、その発想は出てこない。

 

ど、どれだけ飢えてるのアナタ

 

と、思いはしなかった。

むしろ

その発想に驚愕した。

 

すげえ、と。

 

彼女はいつでも出会いを求めている。

出会いが訪れる瞬間を、いつでもイメージしている。

同級生と行くファミレスの、なんてことない風景に合コンを重ねるほどに、出会いを求めている。

 

それも自然に。

 

私は大学を出て久しいしそもそも大学時代に合コンなるものを経験したことすらない。彼女と私はあまりに隔たっていて、共感も何もできやしない。

 

だからなのだろう。

 

ファミレスを、輝く出会いが待ち受ける合コン会場に変えてしまう彼女の感性。にじみ出る「いつでもどこでも素敵な人に出会いたい!」という、まばゆいばかりの欲求。そのまっすぐさが、うらやましく思えた。

少なくとも、彼女は――出会いそのものを楽しむ才能の持ち主なのだ。

 

願わくば

彼女の未来に、素敵な彼氏があらわれんことを。